夕凪の街桜の国
- 作者: こうの史代
- 出版社/メーカー: 双葉社
- 発売日: 2004/10/12
- メディア: コミック
- 購入: 60人 クリック: 1,350回
- この商品を含むブログ (1129件) を見る
まぁ読んだのは結構前なのだけどここで紹介をば。
何故かうちの会社のマンガ置き場(こう堂々と会社に公然と置いてると言えるのが業界ならでは)に
誰が置いたのか置いていた。
帯には「手塚治虫マンガ賞・新生賞受賞」とか
「文化庁メディア芸術祭マンガ部門大賞受賞」とか(あれ、これだけだったっけ?)
「朝日新聞にて2日に渡り大絶賛!」とか確か書いてあったと思う(うろ覚え)。
戦争系の話とは聞いていたので(というか広島の原爆の話なので)、
逆にそのジャンルにて一番絶賛されたくない新聞社が絶賛してるのが結構引き気味でしたが
実際読んでそれは全くの偏見でした。
話自体は終戦から少し経ってからの被爆者とその家族達を現代まで追っていくというもの。
よくこういうのでありそうな誰かを恨むとか、悲しみを爆発させるとか
露骨な戦争の悲劇とかそう言ったものが逆に全くなく、
ただただ「幸せでありたい」…そんな素朴な願いをしみじみ(表現が難しい)描いている。
そんな描き方はかえって60年近く経った現代まで残る原爆の「後遺症」を
『まだあるのかよ…』という呆れと言うか切なさでしみじみ、だがずっしりと印象づける。
戦後から60年経ってあの頃の体験を語ってくれる人も少ない。
最近東京大空襲の体験談を生徒がつまらないで一蹴してたのが
記事に載ってた様な気がするけど、もう最近の学生にとって60年前は
既に『歴史』に近くなってしまってきてるんだろうなぁ。
ともかくこれはそう言う意味で新しい戦争の訴え方をしているとてもオススメできる本。
よくまとまってない気もするけど是非(特に地元の方とかは)読んでもらいたい一冊です。
…個人的に印象深かったのは主人公達が父親がこっそりどこかに行くのを
コソコソ付いていくシーン。果ては東京から広島まで来てしまうのだが、
西武新宿線→東京駅→深夜バスで広島へ
全くもってMon自身がバスで実家に帰るルートと同じだったのが笑えたというか親近感が湧いたというか。